センサーを用いた非接触での生体信号計測機器の研究開発

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[ 研究報告 ]

  • 共同研究者 宮崎大学工学教育研究部 環境ロボティクス学科担当 田村宏樹 教授
  • 共同研究企業 イー・アンド・エム株式会社 宮崎事業所

共同研究開発の歩み

  1. 2015年6月から、共同研究を開始。センサーを用いた非接触での生体信号計測(呼吸・心拍・体動)の可能性調査を推進。
  2. 2017年7月からは、実用化を目指したプロトタイプ製作の研究開発に取り組む。
  3. 2018年4月から新たな取り組みとしてセンサーを用いた活動検知や危機感知の受信の研究を開始。

モチベーション

 近年日本では人口減少、高齢化社会を迎え、社会保障費にかかる財政負担の軽減が課題となっています。そのような中、IoT、AI(人工知能)、ビッグデータ解析といった技術が注目されており、特にAIは第三次ブームでようやく産業利用への道が開けたことより、様々な活用が期待されています。その活用事例の代表として、「健康寿命延伸」を目的としたヘルスケア産業が挙げられます。ヘルスケア産業は、特に地域に根差したものが求められていると私は考えており、我が宮崎県では、中山間地域の高齢者の在宅での見守りシステムの需要が特に多いと感じています。

 イー・アンド・エム株式会社宮崎事業所(以下「E&M」という)と宮崎大学は、卒業生の継続的な採用を行う関係性や、地元宮崎での上のような社会問題に貢献したいという共通の思い、また宮崎大学における重点領域研究プロジェクト「バリアフリー社会実現のための生活支援技術の開発」(代表:田村)とも目的を一にしたことから、本共同研究を開始するに至りました。

 本共同研究は、2015年6月から、見守りシステムへの応用を目的として、非接触でベッド上にいる人の生体情報(呼吸・心拍・体動)を計測するシステムの可能性調査を開始しました。

 世界的に見ても、手軽に生体情報を計測する研究、開発は大変注目されており、代表的なものとして「Apple Watch」による心拍数計測などが挙げられます。なるべく早く、本共同研究の成果を実用化し、宮崎発の製品にしたいと考えています。

研究内容

 本共同研究では、ベッドに寝ているときの呼吸・心拍・体動を、ベッドの下に敷いたセンサで計測して算出するシステムの研究開発をしています。図で示す通り、安静状態では、真値と比較して一割以下の誤差で計測が可能であることを確認しています。呼吸、心拍は非常に小さい圧力であり、センサーに混入するノイズの影響をなるべく受けずに、求める信号を抽出することができるかが難しい面であり、研究により解決しないといけないところです。また、信号抽出過程でファジィ推論の考えを導入して、対象者の体重やベッドの状態など環境のよる影響をなるべく小さくする工夫をしています。今後は、実用化に向けてより様々な環境下での再現性を確保することが課題として挙げられます。

グラフ